リハビリテーション部
リハビリテーションとは
リハビリテーション医学の理念は「Re(再び)Habilitare(適応させる)」のラテン語に由来し、単に手足の麻痺や関節機能の回復だけでなく、日常生活動作や歩行の自立、心理的不安や抑うつからの脱却、家庭や社会活動への復帰といった「人がその人らしく生きる権利を回復するためのすべての過程」を意味します。
患者様ごとに障害とその程度、社会的背景が異なることから、各問題点に適切なプログラムを組み立てて、多面的に多職種によるチームでアプローチすることが重要であり、私たちはその取り組みを大切にし、患者様の回復に貢献できるよう日々努めています。
脳卒中リハビリテーション
脳卒中のリハビリテーションは、急性期においては十分なリスク管理下に早期からの離床をはじめとした種々の訓練開始によって、合併症の予防と機能回復を図ります。
回復期においては十分な質と量の訓練を行い、さらなる機能回復と日常生活動作 activities of daily living(ADL)の再獲得を目指します。生活期には地域における生活機能の維持・向上など、実践の場とともに目標も変化していきます。
当センターリハビリテーション部は、急性期から生活期まで、すべての病期で最善のリハビリテーションを提供できるよう努めています。
医療保険:一般病床、地域包括ケア病床、回復期リハビリテーション病棟
介護保険:通所リハビリテーション(1時間以上2時間未満のみ),訪問看護ステーションさくら(訪問リハ)
「自分らしく笑顔で過ごせるように」
当センターは脳血管疾患を中心に、急性期から回復期、生活期まで一貫し たリハビリテーションを提供しています。 発症後早期より上肢・下肢装具を利用した歩行訓練、入院時からの口腔ケア や早期摂食嚥下機能訓練等を積極的に行い、可能な限り不要な廃用を防ぎます。そして、回復期では在宅復帰を目標に、運動麻痺に対するニューロリハビリテーション(電気刺激療法、装具、HANDS療法、CI療法等)、高次脳機能訓練、ADL訓練、家屋調査を行い、より良い状態で安心して自宅に帰れるように支援します。 また、退院後の在宅サービスとして、短時間通所リハビリと訪問看護ステーションからの訪問リハビリも提供しています。その他にもいちき串木野市の介護予防事業にも積極的に参画し「ころばん体操」「ひっかけん体操」「地域ケア会議」を通して地域貢献や個々の研鑚に努めています。 リハビリ提供の根拠は「脳卒中ガイドライン」を基に患者個々の可能性を引き出し、最大限の回復に寄与することが私たちの使命であると考えます。 患者、利用者、住民の方々の生活が笑顔で満たされ、自分のやりたい事や生き方を支援できるリハビリテーション部であり続けたいと思います。今後も現状に甘んじることなく、リハビリマインドを磨き社会に貢献できるよう精進して参りたいと思います。
認定・資格など
- 日本理学療法士協会 認定脳卒中理学療法士
- 日本理学療法士協会 認定運動器理学療法士
- 日本言語聴覚士協会 認定言語聴覚士(摂食嚥下領域)
- 日本訪問リハビリテーション協会 認定訪問療法士
- 回復期リハビリテーション病棟協会 回復期セラピストマネジャー
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 一般財団法人日本心理研修センター 公認心理師
- 福祉用具プランナー
- 心理カウンセラー
- PTOTST介護予防推進リーダー
- PTOTST地域ケア会議推進リーダー
- フレイル対策推進マネージャー
- サービス管理責任者
理学療法部門
理学療法は、医師の指示のもと、障害を負った方に対して科学的根拠に基づいたリハビリテーションを行い、最大限の回復を一緒に目指します。
後遺症が残る場合にも「その人らしく」生活していくための手段を習得する支援をいたします。
運動療法
運動療法は関節の動く範囲を広げる、筋力をつける、起き上がって座る、a歩くなど日常生活に必要な機能やトレーニングを行います。
近年、疾病を罹患した早期から、高頻度に、物理療法や装具療法と併用して運動療法が推奨されており、急性期病棟・回復期病棟・生活期リハビリテーションで実施しております。
生活期リハビリテーション
例えば運動麻痺が後遺症として残った場合、歩くのが困難になった場合、「その人らしく」あることは困難でしょうか。
私達は多くの患者様・ご家族と一緒に後遺症に向き合い、そのことについて考えてきました。
自宅での生活や、退院後の生活に不安を感じている方を対象に、ご本人・ご家族と一緒に生活の再構築を図ります。
介護予防事業
疾病を予防する観点から、日常での運動や体操、コミュニケーションの場は重要です。
いちき串木野市の「ころばん体操」体操指導員として、予防事業へ参加しております。
作業療法部門
当院作業療法部門では、対象者ご本人が「したい・する必要がある生活行為」や、ご家族から「することが期待されている生活行為」に焦点を当て、対象者と目標を共有し、対象者が自分の回復や健康の促進に積極的に関与できるよう心掛けています。
退院後も対象者の方が「その人らしく」生活を再開できるように、様々な手段を用いて支援します。
※生活行為とは、食事、着替え、身だしなみ、トイレ、入浴など生活全般の行為や、仕事、掃除、洗濯、料理などの生産活動や、園芸やグランドゴルフ、釣り、地域の行事への参加などの趣味活動も含みます。
作業療法で用いる手段
身体と精神機能の評価・治療
対象者の身体・精神機能の評価を行い、状態に応じた医学的根拠のある機能訓練を実施していきます。
物理療法機器と物品の利用
電気・振動刺激を併用し、対象者の状態に合わせた物品を用いて、難易度を調整しながらリハビリを進めていきます。
日常生活動作の評価・練習
対象者の方が必要な日常生活動作の評価・練習を行います。必要に応じて、実際に買い物を行うなど、院外でのリハビリも実施します。
福祉用具や装具の利用
対象者が望む生活行為を実現するために、様々な福祉用具の提案や、装具・自助具の作製を行い支援します。
言語聴覚療法部門
言語聴覚士とは
話す、聞く、食べるのスペシャリスト
私たちはことばによってお互いの気持ちや考えを伝え合い、経験や知識を共有して生活をしています。
ことばによるコミュニケーションには言語、聴覚、発声・発音、認知などの各機能が関係していますが、病気や交通事故、発達上の問題などでこのような機能が損なわれることがあります。言語聴覚士はことばによるコミュニケーションに問題がある方に専門的サービスを提供し、自分らしい生活を構築できるよう支援する専門職です。また、摂食・嚥下の問題にも専門的に対応します。
ことばによるコミュニケーションの問題は脳卒中後の失語症、聴覚障害、言葉の発達の遅れ、声や発音の障害など多岐に渡り、小児から高齢者まで幅広く現れます。言語聴覚士はこのような問題の本質や発言メカニズムを明らかにし、対処法を見出すために検査・評価を実施し、必要に応じて訓練、指導、助言、その他の援助を行います。
言語聴覚療法の対象(成人)
入院(一般病棟、地域包括ケア病床、回復期リハビリ病棟)、通所リハビリ、訪問リハビリ対象
※成人の外来リハビリでは、末梢性顔面神経麻痺のみ行っています
※評価依頼(特に嚥下評価)や相談は随時受け付けています
対象1(構音障害)
舌や口などの麻痺により発音がはっきりしない
- 呼吸や発声の練習
- 口腔や構音機能の練習
- 話し方の工夫・指導
- 話し相手となる方への指導
対象2(失語症)
脳の言語野の損傷によって、話す・聞く・読む・書くことが難しい
- 物の名前を言う練習や聴く練習、字の読み書きの練習
- 実際のコミュニケーションに必要な様々な練習
- 話し相手となる方への指導
対象3(高次脳機能障害)
記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害など
生活・活動場面で必要な練習…個人に応じた課題の実施、ノート使用、生活スケジュールの立案・実行、食事献立の立案、パソコン使用など、個々に応じた練習を行います。
対象4(摂食・嚥下障害)
食事中よくむせる、飲み込みにくい、食事に時間がかかるなど
- 咀嚼、嚥下、咳の練習
- 口腔ケアの実施とケア方法の助言・指導
- 食事の環境・姿勢・方法・形態の設定
言語聴覚療法の対象(小児)
外来リハビリ、訪問リハビリ対象
※相談や見学は随時受け付けています
対象1(ことばの遅れ)
ことばの遅れがあるお子さんに、遊びやプリント課題などを通して言葉を促すようなトレーニングを行っています。
対象2(コミュニケーション)
人への関心が低いお子さんや人との関わりが苦手なお子さんに、ゲームやロールプレイなどを通して注意を向ける練習や人との関わりを楽しむ体験をしコミュニケーション力を伸ばしていきます。
対象3(読み書きの遅れ)
読み書きや学習に困難があるお子さんの特性を理解し、それぞれにあった学習方法を見つけていきます。
対象4(注意、記憶)
うまく注意を向けられないお子さんに、聞く練習や見る練習をします。また、指示に従えなかったり、行動がワンテンポ遅れてしまうお子さんの中には、覚えることが苦手なお子さんがいます。得意な覚え方を探しながら、記憶のトレーニングを行います。
対象5(構音、吃る)
正しい発音ができない、言っていることがはっきりしない、音を繰り返す、音を引き伸ばす、話そうとするとつまったようになってしまうなどなどの発音の問題を抱えるお子さんに発音練習を行います。お家での練習の仕方をアドバイスしながら、毎日のトレーニングのサポートをします。